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【提言】常滑で「産み、育てる」のリアルに向き合う。元看護師・FPが伝えたい、制度の光と、まだ埋まらない隙間。

常滑市にお住まいの皆様、こんにちは。 元看護師、現役ファイナンシャルプランナー(FP)、そして二児の母として活動しております、髙塩 理絵(たかしお りえ)です。

名古屋からこの常滑に移り住み、子育てをしながら生活をする中で、私は日々、この街の温かさと可能性を感じています。一方で、専門家として、そして当事者として街を見渡すと、一生懸命に生きる現役世代の足元に、いくつもの「見えない壁」が存在していることに気づかされます。

「子どもを授かりたい、でも経済的な不安がある」
「キャリアを大切にしたい、でも育児の壁が高い」

今日は、常滑で「産み、育てる」という選択を守るために、制度の光と、まだ埋まりきらない隙間についてお話したいと思います。

1. 常滑市の「妊活応援」の光と、それでも残る経済的な壁

常滑市は、妊活・不妊治療への支援に力を入れている自治体の一つです。しかし、実際に現場で悩む方々の声を聞くと、公的な支援だけではカバーしきれない「制度の隙間」が見えてきます。

常滑市が誇るべき取り組み

まず、常滑市が誇るべき取り組みとして「妊活応援金給付事業」があります。
妊娠を望む夫婦を応援するため、不妊検査・不妊治療を行っている夫婦に対し、年齢や保険適用の有無、自己負担額に関係なく、一律で給付する制度です。

一般不妊治療(不妊検査・人工授精など)
 → 1回5万円、1年度1回まで、通算5年度まで
・特定不妊治療(体外受精・顕微授精など)
 → 1回5万円、1年度6回まで

特に評価したいのは、年齢や保険適用で線引きをしない姿勢です。

制度の条件よりも、「妊娠を望む気持ち」に寄り添おうとする設計に、私は常滑市の本気度を感じています。

5万円という金額は、治療全体から見れば決して十分とは言えないかもしれません。しかし、「あと一歩」を支える支援として、大きな意味を持っています。

👉 「妊活応援金給付事業」の情報はこちら。(リンク先が開きます)

 

保険適用外の「自費診療」「先進医療」という重圧

2022年4月から不妊治療が保険適用となり、経済的なハードルは下がりました。しかし、保険適応には年齢条件や回数条件が設けられています。そのため、実際には「より確実な結果」を求めて、保険外の自費診療や先進医療を選択するケースが多々あります。 例えば、先進的な検査などは、1回で15万円程度の費用がかかることもあります。こうした高額な検査を経て、さらに数ヶ月、数年と続く治療費の積み重ねは、家計にとって決して小さくない負担です。

多額の自己負担、そして保険適用の「43歳未満」という年齢制限や保険が適応される回数制限の壁。これらは、子どもを望むご夫婦にとって、精神的にも経済的にも非常に大きなプレッシャーとなっています。FPとして家計を分析する立場から見れば、この「あと一歩」の経済的負担が、人生の選択を左右してしまっている現状を重く受け止めています。

精神的な孤独を地域で支える

妊活中の精神的な孤独は、想像以上に深刻です。SNSでの報告に傷つき、誰にも相談できず孤立してしまう。看護師として命の誕生に携わってきた私だからこそ、心のケアがいかに重要かを感じます。 常滑市が持つ「地域の繋がり」を活かし、金銭的支援だけでなく、里親制度や養子縁組の正しい知識の普及、そして悩みを共有できる場づくりを、もっと身近なものにしていきたいと考えています。

産後支援「母乳相談等助成事業」というもう一つの光

妊娠・出産の先にも、支援は続きます。
常滑市には、産後の母乳相談に対して、1回2,500円の助成制度があります。産後のお母さんは「おっぱい足りてるかな?」「おっぱいが張ってしまったらどうしたらいいの?」など母乳の悩みは尽きません。もちろん私も同じように母乳の量や授乳方法に随分と悩まされました。こうした支援が用意されていること自体が、「困ったら相談できる」「支援がある」という子育て中のお母さんへの大切なメッセージだと感じています。

産後の悩みは、とても繊細で、誰かに相談するまでに勇気が必要です。だからこそ、「相談してもいい」「支援がある」という選択肢が可視化されていることは大きな意味を持ちます。

制度は“あるだけ”では十分ではありません。知っているかどうか、使えるかどうか、その間には大きな差があります。けれど、こうした前向きな取り組みが確実に存在していることも、常滑市の大切な強みの一つだと私は思います。

 

👉 「母乳相談等助成事業」の情報はこちら。(リンク先が開きます)

 

2. 働く親を支える制度と、現実のハードル

子どもを出産した後、共働きの両親にとって次に立ちはだかるのは「働き続けられるかどうか」という問題です。私自身、二人の子育てと仕事を両立させる中で、何度も「どうしよう」という夜を過ごしてきました。

「1日2,000円」と「事前の診察」の壁

常滑市の病児保育は現在1日2,000円(8:30〜16:00の場合)。名古屋市の1,000円(6時間まで)、1,500円(8時間まで)と比較すると、家計へのインパクトは約2倍です。 さらに、利用するための準備物や事前の診察、予約の難しさ…。仕事を持つ親にとって、子どもが熱を出した朝にこのハードルを越えるのは至難の業です。「これなら、会社やお客様に平謝りして自分で看るしかない」と、自身のキャリアを二の次にしてしまう選択をするお父さんお母さんが、今もたくさんいます。

子どもの看病を理由に休みが取れない、休暇日数が足りないという切実な声。 「預ける施設がある」だけでなく、「使いやすい仕組み」へ。行政の言葉を現場のニーズに翻訳し、働く世代が罪悪感なく活躍できる仕組みを整えることが、常滑市の活力に直結すると信じています。

我が家の選択:夫の育児休業取得

一方で、私自身の経験の中には「産み、育てる」ことへの希望を感じた瞬間もあります。
第二子の出産時、夫は育児休業を取得しました。2025年4月に「産後パパ育休」の給付金制度が大きく変わり、子どもが生まれてから8週間以内に最大4週間取得可能で、両親がともに14日以上取得することで「手取り10割相当の給付金」がもらえるという制度にちょうど変わったタイミングでした。

夫が育休を取ることは、我が家にとって大きな決断でした。収入面や社内での見られ方に不安がゼロだったわけではありません。しかし、結果として得られたものは、それ以上に大きな価値でした。私の産後の身体的・精神的な負担が軽減されたことはもちろん、夫が上の子との時間を主体的に担うことで、家族全体のバランスが整いました。また、「新生児」という生まれてからたった28日間しかない貴重な時間を、夫婦で共有できたことは一生の宝物になりました。

男性の育児参加や育休制度は、年々良くなっていると感じます。「育休を取る」という選択肢が、特別なものではなく当たり前になる社会へ。制度があること、そしてそれを活用できる空気が広がることは、子育て世帯の安心に直結します。経済的な設計と働き方の選択は、決して切り離せないテーマだと実感しました。

👉 厚生労働省「産後パパ育休」の情報はこちら。(リンク先が開きます)

 

3. 物価高騰という荒波の中で、家族計画を考える

FPとしてライフプランを作成する中で、最近の物価高騰は無視できないリスクとなっています。

・ミルク代:4年で24.6%の上昇

・おむつ代:4年で21.9%の上昇

・市販されている離乳食:1食130円〜350円

こうした日々のコスト増は、着実に子育て世帯の家計を圧迫しています。私が3人目の家族計画を考える際、最終的に「今いる家族(夫と子ども2人)を全力で守る」という決断に至ったのも、体力の問題もありますが、将来の教育費と物価変動を見据えた「経済的な責任」からでした。

「お金の不安」が、人生の選択肢を狭めてしまう現状を、どうにかして食い止めたい。奨学金返済の支援制度や、地元企業の働き方改革との連携など、FPの知見を活かした「常滑独自の経済的安心感」をどう構築していくか。これが私の大きな研究テーマでもあります。

4. 地域コミュニティの「再定義」と情報の民主化

移住者として歴史ある地域に住む中で、古き良き町内会文化の素晴らしさと、その「持続可能性」の危うさを感じています。

町内会で支える伝統をどう守るか

町内会に入ることで、近所の方との接点があり日々の生活に安心感がもたらされたり、祭りなどの行事に親子で参加したり、防犯や災害時の連携ができたり、いいところはたくさんあると感じています。しかし、常滑市の一部の地域では、わずか10世帯ほどで町内会を構成し、役員の負担を回している現状があります。高齢化が進む中、このままでは町内会の存続自体が危ぶまれてしまいます。町内会の統合や役割の簡素化など、今の現役世代が「これなら参加できる」と思える新しい自治の形を、対話を通じて探っていく必要があると感じています。

行政の情報を「自分ごと」に変える

常滑市には良い支援策がたくさんあります。しかし、町内会に入っていない方や忙しい世代に、その情報が届いていない「情報格差」が起きています。 常滑市の公式LINEの徹底活用や、難しい行政用語の「翻訳発信」。誰もが平等に、必要な支援を手にできる環境を作ること。FPとして情報を整理し、看護師として寄り添ってきた経験を活かし、行政の情報を「自分ごと」に翻訳する役割を担っていきたいと考えています。

5. さいごに。光を広げ、隙間を埋めるために

常滑市には、確かな「光」があります。妊活応援金、産後支援、地域の温かさ。同時に、まだ埋まりきらない隙間もあります。

私は、母としての優しさを大切にしていますが、内側には、決めたことをやり抜く「芯の強さ」を持っています。

看護師として命の尊厳を守り、FPとして皆様の資産を守ってきた。この二つの専門性と、二児の母としての生活実感を掛け合わせ、私は常滑で「産み、育てる」という選択が、希望となる街にもっとしていきたい。

数年後、振り返ったときに「あの時、みんなで声を上げてよかった」と思える街にするために。私はこれからも、一人の市民として、一人の専門家として、皆様の声に耳を傾け、発信を続けていきます。

常滑の未来を、一緒に考えていきましょう。
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髙塩 理絵(たかしお りえ)
ファイナンシャルプランナー / 元看護師 / 二児の母

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@rie.takashio

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